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相変わらずの早起き。朝食はくるみパンとサラダ、トマトジュースで簡単に済ませた。

 

渋谷からバスに乗り三宿に行った。三宿は母が20代前半の数年を過ごした場所で、昔暮らしていた場所が今はどうなっているのか見てみたいと言う。

 

道路沿いにあったというマンションは思った通り新しいマンションに建て替えられており、あったはずの銭湯も駐車場になっていた。唯一パン屋さんだけは残っていて、母はそこでよくサンドイッチを買っていたらしい。確かに彼女は今の私の年齢より若い女の子のうちに、この場所で生活していたんだとうっすら感動を覚えた。母にも東京でひとりの若い女の子として一生懸命に生活していた時間が確かにあった。そして私がそれをなぞっている。

 

世田谷公園まで散歩をして、ふたりともお腹が空いたので公園内のベンチでサンドイッチを食べた。

 

新幹線の乗り口まで見送り、母と別れた。心細い気持ちを隠すため、音楽を聴きながら帰りの電車に乗っていた。

 

恋人が久し振りに会いたいというので、夕ご飯を作った。鳥の照り焼きとこんにゃくの炒め煮、鯖ときゅうりの酢味噌和え。鳥の照り焼きは彼の好みに合わせて濃口に作ったら大好評だった。

 

寝る寸前に彼が機嫌を損ねることがあったけれど、大したことじゃないと目を瞑ったら、夜中にベッドに私ひとりきりのことに気づいた。またソファで寝てる。放ってまたひとりで眠ったけれど朝方また目覚め、少し話すと彼はごめんなさいと素直に謝って私を抱きしめた。この人は相変わらず私のことで精一杯で、私もこの腕の中からはもう出られない。