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まだ夜が明けて間もないころに目が覚めると、母も隣でちょうど起きたようだった。カーテンを開けると冷たくて水気を含んだ空気が部屋に入り込んできた。

 

大浴場に向かう。私たちのほかには一組の家族だけ。露天風呂に浸かって、清涼な空気を吸っていると生まれ変われるような気持ちになった。

 

朝食のレストランは窓が大きく開放的だった。わたしはオムレツ・温野菜・クロワッサン、母はごはんとお味噌汁、焼き魚や卵焼きを選んでいた。

 

ホテルを出てバスに乗りガラスの森美術館に行く。期待していたバラはまだ咲いていなかったから、母は少しがっかりしていたが、私の写真を撮りたいと背景の綺麗な場所に私を行かせて写真を撮った。私はすこし驚いた。母とは友人みたいな関係性なので、彼女が私をこんなにあからさまに可愛いがることは珍しい。

 

小雨の降る中、バスでポーラ美術館へ。印象派の展覧会がやっていたので、私の趣味に付き合ってもらうつもりで母を連れて行ったが、彼女が絵画を眺めるのを楽しんでいて本当にうれしかった。二人ともモネとマティスが好きで、藤田やピカソも面白いと話をしていた。作品それぞれの前で小さな声で感想を言い合う楽しさよ。グッズ売り場では二人とも長い時間をかけて吟味していた。

 

強羅から箱根湯本に電車。お土産を買ってからカフェで休憩をして、ロマンスカーに乗った。

 

最寄り駅にあるお店で惣菜を買い、簡単に夕食を済ませて、お互いの好きな音楽を聴いた。